6月末から7月あたまにかけて、スコット・ウィリアムズのオンラインWS、久保田恵さんのNiki Flacks WSを開催した。
今回は裏方、企画と運営に回ったけど、オンラインWSに関しては人数合わせの都合で僕も参加。
どちらも素晴らしいWSになった。
それはもちろん講師であるお二人のコーチングが素晴らしく、参加者が思い切りチャレンジできたからだろう。
オンラインWSは、やはりオンラインでのマイズナーという、参加者にとって「上手くいくのかな?」という疑問があっただろうけど、それはすぐに払拭された。
画面越しだからこその相手へのフォーカスを実感できたら、相手とやるだけ。
スコットのサジェスチョンと、織り交ぜられる様々な演劇知の宝庫のようなエピソードで、刺激的な時間となった。この後ロンドンでリアルにスコットのWSに見学しに行った人もいるし、WS見学者のなかで「以前別の講師に教わったけど疑問ばかり残ってしまったけど、もう一度やってみたい」と僕のWSに参加してくれた人もいる。
Niki Flacksは未知の演技法。とても強い感情が出てくるので恐怖感はあったはずだけど、自分の表現の可能性が広がると気付けば誰もが飛び込む。
ちゃんと科学的にも裏付けされている演技法なので、強烈な感情が出てきても皆ちゃんと帰ってこれていた。
参加者からは早くも「オーディションでも上手く働いた」という嬉しい声も聞いている。
僕の開催するWSは、キャスティングに繋がるものではなく(僕は演出家やプロデューサーじゃないから)、純粋に自分の演技を良くするためのものだ。
実際「わざわざお金払ってWS受けるなら演出家や監督のWS」という俳優も多いと思う。それも一つの考え方だ。
僕の価値観は、
演技の拠りどころ(あるいは拠りどころの一つ)となる技術を身につける。俳優としての視野を広げる。それらによって、より魅力的な芯のある俳優になる。WSを通してそのためのお手伝いができればというもの。
スコットにしても恵さんにしても、参加者は使える技術を持って帰れるだけでなく、
俳優として、結果的には一人の人間としてエンパワーされる。
恵さんのWSは来年以降もまた開催します。できれば日にちを増やして。
スコットについては、出来れば来年以降実際に日本に来てもらいたい!
(彼を日本に招聘するとなると、助成金は絶対に必要なので「手伝えるよ」という方は是非ご連絡ください!)
どちらも日本の俳優の演技を、俳優が持っている力を最大限引き出してくれる素晴らしい教師。
スコットはマイズナーテクニックの教師だけでなく、各国の俳優たちと作品を作ってきた演出家でもある。マイズナーテクニックという共通言語を持つ俳優たちと彼が作品を作ったら、どんなに素晴らしい稽古場でどんな中身の濃い作品が生み出されるだろう。
僕がWSを始めたのは「自分が良いと思った演技法や考え方が広がっていけばいい、誰かの役に立てばいい」という思いから。
今みたいにハラスメントについて皆が考えるようになる前から、俳優が力を発揮しやすい稽古場ってどんなだろうと考えてきた。
「この人は良いことも言うし素敵な人なんだけど、なぜ俳優にそんなことをしてしまうんだろう」という残念な例をいっぱい見てきて、国内外の素晴らしい演劇人や教師と出会って「その根本にある考え方はどういうものだろう?」と興味を持ち続けて、
留学でもそういう素晴らしい先生を選んだ。
「良いもの」を知ったのだから、自分に出来るなら、それをシェアしたい。
スコットの教えるマイズナーテクニックにしろ、Niki Flacksにしろ、
俳優をより素敵に輝かせるもの。
そういう「良いもの」が、日本の俳優に広まればいい。
そしてもっとワクワクする演技や作品が数多く生み出されればいい。