マイズナーテクニックのなかでは、相手の言動に対して感じることを表出することを奨励する。
自分が感じていること、相手に対する意見をや態度を表に出すことが、相手に対する反応、リアクションとなる。それが相手にとっての刺激となり、何かしらの反応を自分に返してくる。
自分の感じていることを表に出すことを抑えてしまうと、相手はさらにがんばらないといけなくなる。
そして自分も抑えているうちに何を感じているのか分からなくなってしまう。
自分が感じることを表に出すことは、今目の前で相手がしていること、相手と自分の間で起きていることを自分事にすることだと思う。
なかで感じていることを抑えて表に出さない、あるいは何も感じないのは他人事になっている(あるいは他人事にしている)と言える。
おそらく処世術として殆どの人が、社会で生きるうえでそうしていると思う。「適当にスルーする」というやつ。表に出すと面倒くさいこと、不利益を被ることがいっぱいある。
それをしてしまうと、お芝居では相手との関係が切れてしまう。
だからマイズナーは、抑えずに表に出すことを奨励する。
これは演技の基礎トレーニングだから。
結果的に、台本に書かれている役は私たちと同じように何らかの理由で、内側にある全てものを表出させたりはしないだろう。抑えたり隠す。「抑えているけど滲み出る」とか「漏れ出る」とか求められることが多い。
だから現場では演出からのオーダーなどに応じて、調節すればいい。
トレーニングの場でやるのは、その前の基礎のこと。
まずは、表に出すことをそもそもやってきてないために苦手なのだからやる。
感じるものを表に出して、相手に働きかけることをやる。
コミュニケーションでは受信と同じように発信も大事。発信が欠けていると相手は余計に頑張ってあなたを受け取ろうとしなくてはいけなくなる。発信するのも俳優としての仕事。
もとろん、この発信は相手を受け取ったうえでのもの。