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こつこつプロジェクト『テーバイ』試演、終了

試演。

一般には公開しない(劇場理事や芸術監督、制作部をはじめとした新国立劇場関係者、各劇場制作、新国立劇場会員などに公開だったらしい)本番が終わった。

2021年の6月から20日間程度の稽古を、1st~3rdと重ねての、まさにこつこつと作り上げてきた時間だった。

観客席には一切意識を向けず、ただ舞台上の共演者に意識を向ける演出だったので、この作品が観客にどう受け止められていたのかはあまりよく分からない。

自分自身の感覚としては上手くいったところもあるけど、全然ダメなところもあり、悔いも残る。
反省点は稽古のなかでもある。
もっとこつこつできたこともあるんじゃないかとも思う。

試みとしてはギリシャ悲劇『オイディプス』『コロノスのオイディプス』『アンティゴネ』の3作が2時間の作品になり(そしてその中には『テーバイ攻めの七将』『フェニキアの女たち』『救いを求める女たち』といった他の作品の要素も入っている)、コロスをあえて省略して、より現代的な対話劇として構築したことは、かなり野心的なことだと思う。
作・演出の船岩祐太と俳優たちが作ったのは、2020年代のギリシャ悲劇であり、
登場人物たちが運命や家族、立場といった要素のなかで生まれる葛藤を通じて「生きるとは?」という問いにぶつかる様にカタルシスが生まれるのかもしれない。

試演、と言っても小劇場を思いっきり使っての演出、上演。

各セクションのクオリティ高い仕事があってこそ成立した作品。こつこつの他の2作品も兼務しながらの仕事で、本当に感謝ばかりです。

1st、2ndのみの参加だった俳優もいて出来上がった作品。
酒井和哉くん、玲央バルトナーくん、川飛舞花さん、小野健太郎さん、草彅智文くん。それぞれの参加、演技があって、3rdではこの世界が出来た。

1stからずっと共にやってきた加藤理恵さん、國松卓くん、成田浬さん、藤波瞬平くん。たくさん刺激やヒントをいただいた。

そして2nd 、3rdであらたに参加の小山あずささん、植本純米さん、木戸邑弥くん。途中参加は難しいかもしれない(自分だったら・・・と思ってしまう)けど、そこはさすがの腕前で見事に新しい役の姿を体現してくれた。

オフの期間から稽古場に戻る度に発見があって、それはまさにこの企画だからできることだったんだろう。そんなプロセスを経ながら一緒に深めていけたのは有り難い経験だった。誰かが仕掛ければ、それでまた誰かが変化する、そんな稽古場だった。

そして自分を選んでこの座組に入れてくれた演出の船岩祐太くん、制作の永田聖子さん。
自分はその期待に十分応えられたんだろうかと自答すると、悔いがあるのだけど、この作品がいずれお客様の前にお見せできるようになることを願うばかりです。