twitterで「マイズナーテクニック」を検索してみたら気になることがあったので、これを書いている。
思い出話というか、過去あったことだ。かなり前。

長らく会ってなかった、連絡取ってなかった友人から突然「どうしてる?」と連絡が来ることがある。
「久しぶりに会おう」ということになる。
会ってみてしばらく話していると
「ところで不労所得があったほうが良いと思わない?」
と相手が切り出す。
あるいは、待ち合わせの場に行くと、なぜか友人ともう一人「先輩」がいる。
誰もが経験したことがある(?)あるいは聞いたことのあるだろう、アレだ。
そうだと分かった途端に気持ちがスッと引いていく。
「アレ」と書いたがそれは宗教だったり、〇〇ウェイだったり様々だ。
(いや、たいていその2つか)
20代中頃から30代はじめに数度そんなことがあった。
好奇心と向上心が優先されるころだ。
明日のことは考えず、ふと思い立ったら誰かに連絡して即飲みに行くような感じで警戒心も薄いから
そういうハズレを引くこともまぁある。
とゆーか僕自身、ずいぶん会ってない友人に突然連絡取ってみるたこともある。僕も警戒されたかもしれないな。
もともと何で知り合ったか忘れたが
映画監督を志していた友人に「プロデューサーを紹介する」と言われ
渋谷のチェーン系のカフェで会った。その人の名前はすぐに忘れてしまった。
その「プロデューサー」は実際どんな仕事をしたかは語らず
「日本の俳優は芸術のために俳優やっているのではなく、いかに食っていくかを考えているからダメだ。金のことばかり考えてるやつが人を感動させられる演技などできない」
と言っていた。
そんなことを言うわりにはなんだか本物感に欠けた彼に僕はうっすら不信感を抱いた。
彼はマイズナーをやるよう勧めてきた。
僕はすでにその頃マイズナーをやっていたのでそう伝えると彼はやや驚いたようだったが、僕は単純に興味があったからどこか良いところがあるか尋ねた。
そうして僕は、ある日曜日に芸能花伝舎でやっていたWSへ足を運んだ。
10年も前のことだ。
そのWSは他と比べて1回の参加料が安く、参加者は20人近くいたように思う。
僕は新参者らしく講師に挨拶をし、そのスループの大人しく様子を伺っていた。
リピテションをしたのは1回だけだったが、相手が苦手なタイプで(笑) 新しい気付きを得られた。
しかし次また来ようという気にはならなかった。
講師のかわりに進行をする女性がいたのだが(おそらく「弟子」みたいな存在)
参加者たちに、テキパキ動かないとかそういうことで高圧的にダメ出しをしていた。すごく感じが悪かった。
僕は初参加だったから普段どうなのかは全く知らないが、それだけで「関わりたくないタイプの人だし、こういう人が仕切ってるところでやりたくないし」と思った。
そして「これはアカンやつやな」センサーが働いたのが、WSのあとのこと。
場所を西新宿のカフェ(チェーン系)に移してお茶をすることになった。
WSにいた人やいなかった人も集まったようで、日曜の西新宿のオフィスビルのカフェはそのグループで占められていたみたいだった。
「よくこんなに集まるなぁ。WSに参加してなかった人もわざわざここへ来て何を話してるんやろ」と思いながら
僕はそこの講師とテクニックや感覚記憶の話、日本の芝居の話なんかをしたのを覚えてる。
他の参加者と話したい気にならなかったし、ネイバーフッドプレイハウスで学んだという、その講師に興味があった。
一通り話したので帰ろうとしたら、別の席に映画監督を志している友人がいるのを発見した。
「なんだ来てたんだ」と声をかけると、なぜかよそよそしいリアクション。
それからその友人とはやり取りもお互いになくなって、しばらく経った。
友人のSNSからは何だか色々と悩んでいる様子が伝わってきた。鬱のようだった。
別の要件で再び僕から連絡を取ることに。
いや、突然向こうからLINEが来たんだっけか。
彼は当初のような監督になることはやめたらしい。
そして、こう謝罪した。
「あの自称プロデューサーの男はマルチ商法で、人を紹介するよう強いられた。あのWSもそう。カフェで集まっていたの連中もそういう話をしていた」と。
ああ、やっぱりなぁ。
お前も「プロデューサー」も本物感や、本気で目指してる感がなかったんだよな。
あのWSの参加者たちも魅力的な人がいなかったんだよな。
お茶するためにあんなに人が集まってるのも変だった。
ということはたぶん言ってない。
メンタルを病んだ彼が悩んだ挙句、謝ってたから。
どうやら、そのWSはいまだ活動しているらしい。会場はもう花伝舎ではないみたいだが。
いや、本当にマルチがどうか、人から聞いた話だから確定できない。
僕は別に何かを売りつけられたり、勧誘されてはいない。
だけど、twitterで繋がった声優志望に
「会って話をしませんか?」と「こういうWSがあるんです」と誘っている人がいるのを見かけてしまうと
「まだやってんのか・・・」と思わずにいられない。
そういう人ってたいがいアカウントは本名or芸名ではない。俳優・声優を目指してるのに名前出してないって何?
ルノアールとかで、隣の席で勧誘やセールスやってるのにちょいちょい出くわすけど「え?こんな奴を信用するの?」「出た、決まり文句」「騙されるなよ~」とか色々思う。
その感じと似ている。
僕も昔の遊び友達に「不労所得興味ない?」と誘われたとき
「演劇やってるやつなんか金ないに決まってんのになんで?他にもっと誘えるやついるでしょ?」と驚いたけど
たしかに「芝居に関係ないバイトする時間と労力がもったいない」「お金の心配せず芝居やれたら」とは誰しもが感じていることだ。
演劇やってる人間には、世間知らずな警戒心の薄い者も多い。
人を信じやすい者も多い。
金銭感覚や計画性がなさ過ぎて借金背負ってる者もいる。
夢と現実のギャップ、オーディションで拒絶されること、日々の生活、
疲弊している者も多い。
これは案外狙い目なのかも。
そうやって狙われた者が、さらに弱い者をターゲットにしていく。
勘弁して欲しい。
弱い者は生き残れないのが現実だったとしても、同じ業界の若者を食い物にしてどうすんだ。
僕のWSにも以前そこでマイズナーをやったことがあるという人もいた。
別に何も被害を受けたりしてな買ったようだし、僕も確信的なことは言わなかった。
「他のWSを受けないほうが良い、他の講師はやめとけ」というようなことは
もともと言うつもりもないし、思わない。
俳優は自分で決めていく仕事だから。他人の選択に対してごちゃごちゃ言う人は支配欲が強い。「他のところに出るな。まだ早い」とか。
アム〇〇イやってる人の書くこと読むと「自分はこれが良い」と信じているように思える。
それはその人にとってそうなんだろう。全て悪ではないのかもしれない。
だけどそういう人って、友人のなかでも自分にとって結局どうでもいいやつしか勧誘しない。
選択をしているわけだ。
僕はそう生き方はしたくない。
若い人へ。
被害にあった人、誘われた人もいるでしょう。
そうじゃない人もいるでしょう。
今までいくつか失望もしてきたことでしょう。
自分の直感や違和感を信じると良いです。
それでも迷ったら、誰か信頼できる人に相談してみるのが良いです。
「ラクして稼ぎたい」は誰でも思うことだけど、上手い話はないです。
貧乏の代名詞的な舞台俳優も「いいカモ」です。
良い話でも希望のある話でもなくて残念だけど、気をつけてください。
マルチでなくても、コントロールの強い座長や講師も気をつけたほうがいいです。
