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逃げ場なし

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先月はマイズナーのクラスがメインだった。
The Given Set of Circumstanceというテーマで、一人はIndividual Activityを、もう一人はPreparationに取り組む。
つまり、シーンを演じるためのステップを重ねている。
前者は「目的」となるし、想像の設定を信じるということになる。
後者はその直前に何があったかという、これも設定に繋がる。

この二つは、結果として俳優の感情を生み出すきっかけになる。
それでリピテションのやりとりも変化の激しいものに、徐々になってきた。
でも大事なのは、今は特に過程であって結果ではない。
「こんな感情が欲しいから、こういうことをイメージしてみよう」は失敗する。
うまくいったとしても、次はうまくいかない。
それよりも、自分で作る設定や準備をどう組み立てれば、自分に作用するのか。過程を探究する。

でも一番大切なのは、何を抱えていたとしても、相手と関わること。
ひとりで泣いている俳優を見ても、心は動かされないし、
また、そういう脚本も「物語としては分かるけど」としか思えない。

相手がいることは、楽しいと同時に怖いことだ。
何が起こるか分からない。
キスをするかもしれないし、
床に組み伏せられてしまうかもしれない、
あるいは自分が相手を殴るかもしれない。
ショックを受けてフリーズしてしまうかもしれない。
今のカンパニーでのリピテションでは、
主観的なことは言わず、相手の外面に表れたことにフォーカスする。
つまり、お互いよく観察されているので、逃げ場がない。
でも相手がいるから、驚きがあるし予想外の変化が生まれる。

そして観ている方にも、
あるクラスメイトが言っていたのだが
「誰かが怒るとき、観ている私たちも怒る。誰かがキスをするとき私たちもキスをする」

こういうことが起きるのだろう。