マイズナーワークショップを終えた。
ワークショップのなかにマイズナーを組み込んだことはあったけど、メインにしてやったのは初めてだった。
ロンドンでの研修で学んだことをシェアするという目的だったので、身体的なエクササイズも絡めての5時間。いや結局のところ延長もしてしまったのでもう少し。発見のある時間だった。
驚いたのは、参加した俳優たちの適応力と正確性。
マイズナーの経験者も初めての人も。違うやり方でこれまでやってきた人も。
3モーメントなんか、僕やロンドンでのクラスメイトはあれだけ苦戦していたのに。
これは日本人特有の「強み」なのだとあらためて気付きながら、感心した。
もちろん一日のワークショップでは体得できるものではないので、イントロのようなものだったけれど、基本となる技術と考え方はシェアできたと思う。
技術や考え方を共有する仲間、一緒に作品をつくっていける仲間を増やしたい。
僕はマイズナーは「技術」だと思う。
俳優として相手を観察し受け取り、思考を挟まずに衝動的に反応する力を育てる。
その技術が、筋トレのように繰り返していくことで身につく。
正確性が積み重ねを下支えする。
マイズナーにもいろいろなやり方がある。
講師がそれぞれに工夫してより良い方法を考えている。
たぶん良いも悪いもなく、それぞれの俳優に合うかだ。
教え方もそうだろう。
いや…「これはやめて欲しい」という教え方はあるな。
異なるやり方でマイズナー俳優たちを見ていて、そして自分もやって考えたことがある。
僕のやり方はドラマ(対話劇)向きなのかもしれない。もちろんコメディでもとても使えるけど。
自分も影響を受けやすい距離に身を置いてパートナーと関わることを勧めるからだ。
そこのところは、やはりアメリカで生まれた演技術だ。
日本人には少しハードルがあると思う。
思い出せば、僕はロンドンのクラスでスコットに何度も「日本人らしくないな」と言われた。
良い意味で、の言葉とは分かっていたけど「他のヨーロッパ人たちと同様に見てくれよ」と思っていた。
でも、クラスメイトで言うと、イギリス人、中国系あるいはベトナム系イギリス人、日本とエジプトのハーフのイギリス人、ウェールズ人、フランス人、スペイン人、オージー、スカンジナビアンがいたけど、それぞれそのバックグラウンドらしさはあったのも確か。
うーん、書いててみんなに会いたくなってきた!
話を元に戻すと、
自分も影響を受けやすい距離に身を置いてパートナーと関わることを勧めるからだ。
と書いた。
相手から受けた刺激から生まれた衝動に従いながら、そのために相手に向かうようほんの少しだけ自分をプッシュすることが必要なのかもしれない。
そういう点で、胆力っていったら大げさかな、
勇気と未知を楽しむこころがいるのかもしれない。
いや、そういうものも、やるに連れて育っていく。
それには人がやっているのを見ることがとても役に立つ。
俳優自身が発見をして学んでいき、成長するためには時間が要る。
僕が思う「これは要点」というものは明確に伝えるし、そのために工夫もするけれど、それぞれの人が気付いて自分のものにしていくための余白があったほうがいい。
参加者のみなさん、ありがとうございました。今回一緒にやれなかった方も次回ぜひ一緒にやりましょう。