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自分なりのカタチ

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リピテションというエクササイズをやっていて常々思っていたことが、
相手と向き合ったときのプレッシャーだ。
「圧」といったらいいのだろうか。
きっと自意識も影響しているんだろうけど、それだけじゃない。
あまり知らない他者と至近距離で見合うのは、まったく日常的な行為ではないし、
緊張を伴いやすい。

身体的に身体を固めてしまい、呼吸も浅くなり、
そうすると相手から受けたものに従って衝動を抑えることなく反応することも難しくなる。
何かおかしいと感じるから、どうにかしたいと「考え」はじめる

なので、昨日のワークショップでは身体的なエクササイズを、午前午後とリピテションを始める前に、取り入れてみた。
効果はあったと思う。
五感を働かせるもの、空間を自分の仲間にするもの、思考を使わずパートナーとの間に生まれたものに従っていくもの。

― これを書いていて今気付いたけれど、リピテションや即興で自分が怖いと思うものに
「どこに行くか分からない怖さ」があるけれど、
「どこまで行くか分からない怖さ」も大きいな。
「終わるのか?」
「うまく終わらせられるのか?」
とか。
でも、それは先を考えるから怖くなるのだ。
終わりなんか考えなくていい。
ただただ、その瞬間100%生きていれば。
それを繰り返していけば、結果的に何かが出来上がるし、
力もついていく。

話を戻して、身体的なエクササイズを挟むことで、
俳優たちはリピテションをするときに反応しやすくなったようだった。

実は、僕の先生のスコットは
「この技術をちゃんと体得した者同士だったら、ウォーミングアップなしで、即本気のリピテションを(演技も)できる」
と言っていた。
朝10時からのドロップインクラス(コースを終えた人が予約なしにその日その時間に来て参加する)を見る限り、それは本当だと思った。

ただ、1からやっていくのに、身体からのアプローチがあればもっと楽なんじゃないかという疑問はあった。
僕が実際に経験したり、人から聞いただけでも、
リピテションに絡めて、感情記憶のエクササイズをやったり、瞑想やトラストといったワークをするところもある。
それぞれがリピテションに取り組んでいくなかで「有効だ」と考えて、デザインされたのだ。


昨日やった身体的なアプローチのなかに、
自分がベースとする演劇観、稽古場観に関わる要素もあった。
どんな稽古場が、そこで創造をする自分たちにとって良いか。
もともとこのワークショップも、
自分がロンドンで「これはいい!」と思ったものをシェアしたくて、
仲間を増やしたくて、始めたものだ。

それから、ウォーミングアップと対になるように、
クールダウンのための簡単なムーブメント+儀式。
これは最後にやったリピテションが良いやりとりになったので、
演劇のために開いた心を、普通の生活のモードに戻す必要があると感じたので
その場で何かやったほうが良いと思って、付け足した。

実際に、僕のコーチが以前、俳優のクールダウンについてリサーチをしたらしい。
多くの俳優が、公演のあと、すぐに帰宅して寝たりせず、酒を飲んだり、SNSとかを長時間見たりするのは、
昂ぶった精神をクールダウンさせるために(そうとは意識してなくても)しているらしい。
そしてそれは必ずしも最善、というか上手くいっていないことが多いようだ。
いずれにしても適切な量があり、タイミングが間違っていたり度が過ぎると睡眠や健康に悪影響を与えるから。
実際、僕も稽古や自分のワークショップのあと、SNSを見ることが最近多い。
ラグビー関係のツイートを見たり・・・。
好みはあるだろうけど、他に良いクールダウンがあるはず。


試行錯誤を続けながら、
少しずつ自分なりのカタチが作られていく。
そしそのカタチもまた、壊して作り直す。