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なぜやるのか?

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今夜は小川浩平さんと『音の世界』のオープニングとエンディングの練習をした。


そして明日『リア王』の収録があるので、確認。
ラジオドラマとしての収録なので、声だけで表現することを意識して読む。
やっていて、このプロセスがあると、映像ありでやるときにプラスになるはずと感じた。
言葉への解像度が上がる。
もちろん、目の前に相手がいてやる際は、手放す必要があるけど。


『音の世界』では出演だけでなく、演出、そして企画もやっている。
知識ゼロの配信のやり方を調べたり、宣伝したり、
カンパ窓口を用意したりも自分の仕事だ。
自分が出ているから、記録映像を見て俳優にノートを送っているが、いつも深夜になる。
俳優として良い状態にいるには、頭も身体も重たすぎる。
そして『リア王』もある。手ごわい作品。


どちらもZoomを使っているので、片方の経験がもう片方に活かせるのは助かる。
手作りの域は出ないけれど、経験は蓄積されている。


なんでやっているんだろう。
なんで生配信なんだろう。
途中で落ちたら、誰かが消えてしまったら?と考えると、
劇場で集まっているんじゃなくバラバラにいるので、助け合えないから、
とても恐くなる。
技術的に慣れていないものを媒体にしていて、それのコンディション次第なことも不安だ。
色んな意味で、なんでこんな面倒なことをやっているんだろう、と思うこともある。
「こんなところで勝負して、メリットはあるのか?」と。
それで手を引く人もいる。



劇場での公演と
オンラインでの生配信。
Zoomで本を読みながら、
空間を共有していないだけで、こんなに違うのかということも痛感している。

だけど、誰かに見られていること、
それを承知して、オンタイムでパフォーマンスを見せる点では同じだ。
僕は、その感覚に飢えている。


自分が演出をやるのなら、
やりたかったワーク、積み重ねたかったプロセスがある。
しかし、今回それはやれない。
オンライン会議システムを使った稽古は、簡単ではないと思う。

だけど、こんな状況になったからこそ、
やれる企画であることは間違いない。
オンラインであっても、集まれたことは奇跡だ。
関西から出演してくれる、せんすさんもいる。
今だからこそ、集まれたメンバー。

せんすさんも小川さんも、バリバリの演出家だ。
なんで初演出作品に二人も演出家を出演させてんねん。
でも変なプレッシャーも、初回だけだった。
二人にはとても助けらているし、
「どれくらいぶり?」な出演といっても、役を楽しんでいる姿は魅力的だ。
もちろん、バリバリの役者、髭a.k.a.山森信太郎さんも、廣田明代さんも素敵。
毎回、良くなってるし、役の人物らしくなっている。
瑚海みどりさんの声もさすがに良いし、作品の世界を支えてくれる。
皆、出演してもらえてよかった。
まずは皆を魅力的に見せることで、
作品を良くすることで、僕がもらったものを返したい。


なんだ、何の話だった?

ああ、なぜやるのか、か。


やりたいから、
だ。


オンライン演劇は演劇とは言えない。
そうかもしれない。
Zoomでの映像の質では、良いものは作れない。
そうかもしれない。

この自粛生活の時間を使って、何かオンラインでやるなら、
戯曲読解とかのWSを考えればよかったのかもしれない。

だけど、こっちを選択していた。

この空白の時間に勉強するのもいい。
でも皆、仕事を失い。収入源を絶たれている。
今回は収益化は難しいかもしれないが、
僕は今、クリエイションすることを欲していた。
直接会うことができず、演劇をやるには物足りないところはあるけれど、
Zoomという(僕たちにとっては)新しいツールを使って探求して、
作品を見てもらいたい。


勝算なんて考えていたら何もできない。



ウクライナのユダヤ人パルチザンが書いた自伝のタイトルを思い出す。

今でなければ いつ?