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話をして、話を聞く会

「話をして、話を聞く会」を開催します。

これは実は、数年ずっとやりたいなと思っていたことで、でも後回しにしていたことです。

主にメンタルヘルスの観点から、と言うとちょっと身構える人もいるかもしれませんが、健康な心で生きるために良いことだと思うんです。

まず簡単にどういうことかをするか説明します

1対1のペアになり、話し手と聞き手の順番を決めて話をします。話し手は、なるべく口を挟まずただ聞きます。他のこと考えたり別のことをしたりせず、注意を話し手に向けて関心を持って聞きます。いわゆる傾聴と呼ばれる聞き方です。話し手は、悩みでも、気になっていることでもいいので話します。できれば時事ネタや単に最近あったことなどよりも、もう少し深いところにあること、自分にとって大事なことが良いです。ただ、聞き手はアドバイスをしないので、何かの直接的な答えを期待することはできません。

なぜこういうことをするか?

これはコ・カウンセリングとかピア・カウンセリングと言われるものがベースです。お互いが「聞き手」「話し手」を交互にするやり方です。僕はロンドンに留学しているとき、研修の合間に学びました。(僕は今、俳優と演技指導をしていますが、これは演技にもとても役に立ちました)

十分な注意を向けられて、話を聞いてもらうことは、その人の抱える傷を修復する力があるのです。細かい説明は長くなるので省略しますが、人はダメージを受けると、それを一人で抱えようとして孤独になります。そのことが傷を余計に深くします。

例えば小さい子どもを見てください。転んで怪我をしたとします。
痛くて泣いているところに「泣くな」「これくらい平気でしょ」「うるさい」「メソメソしてカッコ悪い」と言われると、泣くのを我慢しようとします。
同時に「理解してもらえない」や「泣いてしまうなんて自分は弱いんだ」「泣くと見捨てられるかもしれない」といった思いをします。転んで痛い上に悲しみ、孤独、恥、恐怖まで味わうことになります。

一方、もし転んで泣いているときに「痛いね」と、その痛みを認めてもらい、十分な注意を向けてもらえると子どもは泣いた後に笑います。「転んじゃった〜(笑)」と。どちらも膝から血が出て痛いのは同じですが、心理的なものも含めて回復が早いのは後者です。注意を向けられることで、本来持っている回復力が正しく機能するのです。
これは身体的な傷だけでなく、精神的な傷や認知でも同じで、注意を向けて聞いてもらうことで、抱えているものを正しく捉え直すことができます。

ついでに言うと、おそらくその子どもは自分の友だちや妹や弟、後輩に、自分がかけられたのと同じ言葉をかけるでしょう。

こんなことないですか?———実際の経験から学んだこと

だいぶ前、地元の友だちAと久しぶりにサシ飲みをしました。
Aは部署が変わって、新しい上司とのソリが合わず苦労していました。Aは人当たりがすごく良くて誰とでも仲良くなれるようなやつだったんですが、よほどストレスが溜まっているのか、酒をおかわりしながら上司への愚痴が続き、僕は話を聞きながら「じゃあこうしてみたら?」とか「こう考えてみたら?」と色々とアドバイスをしましたが、Aからは「でも〜」が返ってくるばかりでした。僕はトイレに行きながら「いくらこの話続けてもしゃあねぇな・・・」と呟きました。

数年後。僕は大きな悩みを抱えることがあり、別の近しい友人Bに相談をしたことがありました。離れていたのでラインでのやり取りで話を打ち明けたのですが、Bから返ってきたのは「でも、⚪︎⚪︎だから大丈夫じゃない?」という、気休めのような、あるいはこちらの視点を変えさせようとするものでした。Bには申し訳ないですが、正直そのとき思ったのは「そういうアドバイスはいらねーんだよ」でした。「ああ、めんどくさいのかな」とも思い、そのやり取りはそこで切り上げました。そしてそのとき気付いたのです。全く同じことを以前、僕もAにしていたことに。「だから、いつまで経ってもAとの話は平行線だったんだ」と。

「ただ話を聞いてほしい」「気持ちを分かってほしい」「肯定してほしい」ことは誰にでもあります。
だいぶ前に「男女の話は噛み合わない、男はアドバイスしたがる」みたいな本がありましたが、話を聞いてほしいのは、男だってそうじゃないですか?もちろん具体的に手伝ってほしいことがある場合も、客観的な意見を聞きたい時もありますが、そればかりでもないはずです。
聞き手も「何か良いことを言わなきゃ」という余計なものを降ろしてもいいんじゃないですか。そしてその方がよく相手の話を聞けるかもしれません。

僕は今回は、この会を試しにやってみたいのですが、男性限定とします。
きっと性別に関わらず、このような会は有意義だと思いますが、まずファーストトライとして複雑にしない方が良いのと、男性が余計なものを背負わずに警戒心を解いて——言い方を変えると、弱いところも見せていられる場所が必要だと思うからです。

家族やパートナーには、あるいは友だちには話しにくいこともあるかもしれません。普段、そんなに時間をとって何かについて考えたり、言葉にしたり、向き合う余裕がないかもしれません。その蓄積が心のバランスを崩すことや、行動をおかしくさせることにつながるかもしれません。

酒や煙草、ギャンブル、ゲーム、SNS、推し、セックス、ポルノ、性風俗といった刺激物は、抱えた何かから目を逸らすためにも使われます(自覚のあるなしにかかわらず)。たとえば、お酒は楽しい気分になるので悪いことばかりじゃないでしょうが、痛みを麻痺させるだけです。「痛み止め」も程度を超えると健康や精神のバランスを害します。またそのことで罪悪感や恥の感情を、自分でも知らないうちに抱きます。痛みが上書きされます。刺激物を味わっている間だけは、こういう嫌なことを忘れられます。それが依存症。完全に負のスパイラルです。
そして、なお悪いことに、これらの刺激物は本当に強力なビジネスになります。現実は、気づかずに金儲けのために利用されているのです。日本でこういった産業が大きいのは、日本社会や個人のあり方と相関関係があると思いませんか。

今回は時間を意識的に使って、あえて痛みに向き合ってみてもいいかもしれません。誰もあなたを「弱いやつ」「ダメなやつ」と思いません。「とりあえず飲もうや」とか「気にすんな」とか、女や煙草や酒はなしでやってみましょう。

普段、友人などと話すときもTPOがあるので、たいていの場合はプライベートな話題や感情的になりそうな話をすることを私たちは避けます。聞く方としても「ちょっと重くなってきたな」とか、前の前の人の感情をどう扱っていいか困惑してしまうでしょう。話している側もそれを感じて恥ずかしくなったり、申し訳なくなったりして、お互いが早く話を終わらせようとしてしまいます。コントロール外になることをすごく恐れます。
でも今回は、あえてそういうトピックに向き合います。そうすることによって、自分のトピックについてよりよく考えられるようになったり、精神的な健康さを得るのです。

この会の考えを理解してくれる方であれば、芝居関係じゃない方、僕と面識ない方も大歓迎です。

日時・会場

・7月16日(火) 13~16時

・@東高円寺の某施設(最寄:東高円寺駅)

ルールとやり方

参加者には以下のルールを守っていただきます

・この会で出た個人的な話や言動については一切、他の人に話したりはしません
・年齢、経験、職業などに関わらず、他の参加者や相手に自分自身と同等の敬意を払います(cf, 「君はまだ若いから分からないかもしれないけど〜」とかはダメ)
・話し手は基本的に自分が話したいことを話してかまいませんが、犯罪に関わることや、聞き手が苦痛に感じるような内容は避けてください。聞き手も「その話題はやめてほしい」と言うことができます

・ペアが作れるよう、人数を偶数に設定します
・話す時間をそれぞれ等分に持ちます(30分ずつ etc。話すのも聞くのも必ず両方やります)
・会の最中、または開始30分前から、以下の刺激物は摂取しないようにします
アルコール、煙草、砂糖や人工甘味料を含む甘い飲み物、お菓子類、カフェインを含む飲食物
・聞き手は、話し手に注意を向け、アドバイスや余計な質問をせずにただ話を聞きます。聞き手のときは自分の経験を語ったり、最中も終わった後も個人的意見や感想も言いません
・時間になったらそれで終わりなので「あの話なんだけど〜」もなしです。また、この会はその後の人間関係とは切り離します

他、具体的なことは当日説明します

会費と人数

・会場費を人数で割ります。それに運営費(¥300/1人)を足した額(当日支払い)

・全部で6名
ペアでやるので、偶数で一旦参加確定とし、奇数となる申込みは一旦保留にします。

参加申込みについて

so5246ra@gmail.com
に、件名「話をして聞く会」としお申し込みください。
以下を明記してください。
①名前
②連絡先(メールアドレスと電話番号)

キャンセル料はありませんが、なるべく当日や直前のキャンセルはしないようにお願いします