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へりくだりとアンティーク

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「自虐ネタ」というのがある。

自分を卑下して笑いをとろうとするやつ。

笑いをとるつもりでなくても、物事をうまく進めようとしてへりくだることがある。

でも、自分でへりくだるとき「そんなことないですよ」というリアクションを相手に期待しようとするのはなんでだろう?

へりくだることで相手にこちらの要求に応えてもらうことを期待していたり、へりくだりに対してフォローしてもらうことを、ちゃんと、期待している。ただへりくだりっぱなしではない。


先日、あることをお願いして、僕は「すみません、ややこしくて」と言った。

相手は「ややこしいですね」と応えた。
そのとき「(肯定したか・・・!まぁハッキリしている人だしなー。面倒くさいって思ってるんだろな)」と内心思っていたことに後になって気付いた。
いや、そう思うくらいなら、へりくだらなくても、下手な「あなたのお気持ちも察しておりますアピール」もしなくていいんじゃないか。


へりくだり、海外でも遭遇したことがあった。

ある町のアンティークショップの片隅で、カップを見ていた時のこと。

50~60代くらいの女性3人組がおしゃべりしながらやってきて

「あれ、これDenbyじゃない。ねぇDenbyでしょ?」

と話しかけられた。

そのとき僕はDenbyを知らなかったので「そうなんだ」みたいなリアクションをした。

「そうそう、昔流行った。あなたまだ生まれてなかったろうけど。70年代とか。私たちとか、昔の人は知ってる」

すごい早口でバーッという勢いで理解がすぐに追いつかず「ああ。へぇ~」としかリアクションできなかったんだけど

「こら、そこは否定しなさいよ!」

とたしなめられてしまった。

今度は他の女性が僕の様子を見て

「ねぇ、かわいそうでしょ(笑)」

と、その女性をたしなめる。

「ごめんなさいね~」と3人組は去っていってしまった。

英国のウィット、当意即妙さが求められる瞬間だったのか・・・。

なにか、シェイクスピア『から騒ぎ』のベアトリスを思い出すような、圧倒のされ方をした。

ようやく現地の会話にも慣れてきたかなと思ったころに「こんな簡単な返しもできないのか」と撃沈した思い出だ。


でも当然こうも思った「ややこしいな・・・」。