12日間のワークショップで、
リピテションエクササイズを中心としたマイズナーテクニックのトレーニングに集中的に取り組み、
最終的に台本を使ったシーンワークで、このテクニックがどのように演技に活かせるかを探求します。
(リピテションエクササイズ:ペアになりパートナーを観察し、相手の挙動を言葉にし、お互いその言葉を繰り返す。単純な繰り返しにより思考を取り外し、本能と繋がった真実のある演技を目指すためのエクササイズ。スタニスラフスキーのアメリカでの弟子、サンフォード・マイズナーが考案した。アメリカをはじめ、ヨーロッパ、アジアなど世界中で舞台・映像問わず俳優の基礎的な演技法として実践されている)
マイズナーテクニックのやり方も様々なのですが、私はロンドンのインパルスカンパニーでスコット・ウィリアムズ氏に学び、より健全に、より相手を受けた演技でスリリングなシーンを作れると実感しました。
帰国後、日本でも同じ演技の言語を共有できる仲間が欲しいと思い、これまでワークショップを継続しています。
また、技術的なことに加えて、稽古場の環境づくりも大事な要素としてファシリテートしています。俳優にとって余計なストレスのないポジティブな環境で、のびのびとチャレンジしてもらうことを心がけています。
サンフォード・マイズナーは演技を「与えられた状況下で真実のある状態で生きる能力」と定義しました。
その能力を獲得するために、演技の要素を分解し段階的に技術を積み上げていきます。
なので、このWSではいきなり「台本をやってみよう」とはしません。
まず、リピテションエクササイズや身体エクササイズといった相手と関係をとるワークを通じて、
受け取る力と、そこから生まれた衝動のままに反応する力を鍛えます。
そして「シーンを演じる」ために必要な要素を構築していきます。
土台となる技術を固めてから、台本読解は一番最後にやり、積み重ねたテクニックを使って実際にシーンを演じます。
主催者からのメッセージ
これまで8日間程度の集中コースを開催してきましたが、より基礎を重視した「基礎集中コース」を初めて開催します。
実際にシーンをやる段階でものを言うのが、基礎の力。
俳優としてそれまでに得た技術(あるいは癖)を一旦脇に置いて、それっぽい声や台詞回しの「お芝居モード」にならず、そのときそこにいる相手と自分で関係をとる力を鍛えます。
お芝居モードにならないことは、最初はあなたを落ち着かなくさせるかもしれません。でも積み重ねていけば、がんばって何かをやろうとするよりも自分がすでに持ってる力を信じたほうが可能性を広げられると気付くはずです。
週3日×4週、12日間の集中コースで俳優としての基礎力をしっかりと鍛えます。
愛するにしろ憎むにしろ、他者に影響を与えあい関わるのは、
たとえそれが虚構のなかであっても勇気が要ることで、怖いことでもあります。
でもそこに踏み込み、俳優の心が本当に響き合っていれば、必ず観ている人の心を動かす美しい瞬間が生まれるはず。
決して楽なトレーニングではないと思いますが、チャレンジングで楽しく、返ってくるものが多い時間になるのは間違いありません。
未知に飛び込み、どこに行くか分からないということも含めて、一緒に楽しみましょう。
このワークショップを受けるメリット
- ポジティブで安全な環境のなかで失敗や批判を気にせず、好奇心を持って積極的に挑戦することができる。
- 集中的に取り組むことにより、マイズナーテクニックの技術を積み重ねていくことができる。
- 頭で考えた自分ひとりで作る演技から脱却して、その瞬間瞬間で相手を受けた演技ができる。
- 「うまく見せたい」「これはしてはいけない」といった自意識から離れる技術が身につく。
- リスクを取って、より相手に影響を与えることができるようになる。
- 身体的なエクササイズも取り入れることで、より衝動的に大胆に反応できる力がつく。
- 自分の直感や本能、身体をより信じられるようになる。
- 学んだテクニックを実際にシーンを演じるのに使うことができる。
- コース終了後は毎月開催のリピテション会やシーンクラスに参加することができます。「俳優としてのトレーニングを継続する場」が得られます。
使用するテキストは葛藤がはっきりと描かれているシーンを使用します。この先どんなスタイルのお芝居をやっていくにしてもベースとなる技術を身につけていきます。
コロナウィルス感染防止対策を取りながらの開催です。
- 参加人数上限を通常時よりも減らします
- 検温を実施し、37.5℃以上の方は参加を見合わせていただきます。(外出前にも、検温していただきますようお願いします)
- 手指の消毒、手洗いにご協力いただきます
- 不織布マスクを常時着用といたします(お持ちでない方には配布いたします)
- 可能なかぎり常に換気をします(換気扇を回し、窓を開けます)
そのほかにも、主催者が必要と見なした対策を実施する場合があります。
また、感染状況を鑑み開催することで参加者の感染する危険性が著しく高くなると判断した場合、開催を中止する可能性があります。
対象
俳優
新しいものを吸収し向上するために真摯にチャレンジする意志のある方。マイズナーの経験がなくても大丈夫です。
日時
2022年
3月 | |
7日(月) | 10:15~17:00 |
9日(水) | 10:15~17:00 |
11日(金) | 10:00~13:00 |
12日(土) | 13:00~17:00 |
14日(月) | 10:15~17:00 |
16日(水) | 10:15~17:00 |
18日(金) | 10:15~17:00 |
22日(火) | 13:00~17:00 |
24日(木) | 13:00~17:00 |
4月 | |
4日(月) | 10:15~17:00 |
6日(水) | 10:15~17:00 |
8日(金) | 10:15~17:00 |
NG、遅刻・早退は基本的に可といたします。オーディションや稽古、撮影と重なる等、事前にご相談ください。
会場
東京都23区内のスタジオ
(杉並区、港区、新宿区)
参加費
42,000円
- 「リピテション割引」 1,000円引き
これまでに西村壮悟によるマイズナーワークショップに参加したことがある「リピーター」の方対象 - 「U25割引」 3,7000円
25歳以下の方 - NEW!「学割」 3,5000円
30歳以下の学生の方
養成所所属の方は週3日以上クラスがあることが条件
今春卒業の方は「U25割引」と同料金
参加
お申し込み方法
メールにてお申し込み。
so5246ra@gmail.com まで、
件名を「集中コース参加申し込み」とし、本文に下記を明記のうえ、ご送信ください。
- お名前(ふりがな)
- ご年齢 (例)「30代中頃」等、だいたいでも結構です
- ご連絡先(電話番号とメールアドレス)
- (あれば)ご所属
- (もしあれば)期間中のNG、遅刻・早退
- マイズナーテクニック経験の有無(あれば、どこで習ったかも)
- 出演歴や養成所でのトレーニング等、主な経歴
- このWSを何で知ったか
- 上記の割引適応希望の方は、その旨お申し出ください。
その後、こちらから返信いたしますメール記載の銀行口座に参加費をお振り込みいただき、ご入金の確認が取れた時点で、ご参加が確定し、参加枠が確保されます。
メールのお申し込みだけでは確定とはなりません。お申し込み時に空きがあってもご入金まで間が空いてしまった場合、後から申し込まれた方が先にご入金され、枠が埋まってしまうこともありますのでご注意ください。
キャンセルポリシー
開催前に参加者の皆様にアンケートをとり、プログラムを準備します。
・開催8日前までのキャンセルは、ご入金いただいた参加費全額返金(ただし返金振込手数料はご参加者様の負担とさせていただきますで、ご了承ください)
・開催7日前以降のキャンセルは半額返金
・開催4日前以降のキャンセルは返金いたしかねます
(次回以降のWSの参加費にあてることができます)
NG、早退・遅刻は基本的に可といたしますので、(シーンワークのペア決めのため)分かり次第ご連絡ください。
定員
約12名 先着順
最少催行人数を6名とさせていただきます。参加希望者が6名に満たなかった場合は各日の時間を短縮、または開催をキャンセルさせていただく場合があります。
これまでのワークショップ参加者の感想
僕が何よりも収穫に感じたことは、リピテーションのワークの延長線上としてテキストに取り組むことができ、そしてその効果を強く感じることが出来たことでした。
相手役から入ってくる情報量が格段に上がり、そこから生まれる衝動にちゃんと気付く、そしてそれに従うことを自分に許す、
そうしても大丈夫なんだと知ることが出来ました。
ホリユウキ
稽古場に、利害関係がなく、萎縮したり威圧されたりが皆無で、もうどれくらい久しぶりにこんなに自分のためだけのレッスンを受けられてるか、、、思い出せないくらいです。うまくいかないことも恐れず、試す場所がもてて、ほんとにラッキーでした。
間瀬英正
『僕は、素直で良いのだ』
一番の収穫だと思います
人間の動物性(野生)を自身で認識し許せたとき、初めてコミュニケーションの根源、その入り口が開くんじゃないかなと感じました
本能的であればあるほど、行動と目的の核が自ずと拾えてくる
そこから人間性(社会性)をくっ付け始めて、生活の中に居るワタシに成っていくのかなと
時間がかかるけど、一切無駄が無い
技術に昇華されたとき、きっと物凄い速度でその過程をクリアし、戯曲の、生きた人としてアナタと対面できる気がしました
関淳平
自分の中の演劇の仕方みたいなものが、煮詰まったり凝り固まっていたと思うのですが、少しずつほぐれてきて良かったです。頭が強い人にほどおすすめしたくなるWSでした。
だんだんと心も身体も開放的になり、自分に嘘をつかなくなってきて、語彙も増えました。また、シーンをやる上で必要な準備(主に読解)がシンプルになって良かったです。
小川結子
濃密な時間を過ごせてとても楽しかったです。
撮影と被ってしまうこともあり、課題にしっかり取り組めるかどうか不安もあったのですが、逆に集中が増してとても身になる日々を過ごすことができました。
今まで台詞をこんな短期間で身に染み込ませられたのは初めてでした。
それはワークのやっていった順番が効果的だったことや、それを素直に受け止めてやることが出来たからだと思っています。
今まで様々な場所でやった事がやっと実を結んだ感覚を覚えました。自分の芝居の大きな指針にしていきます。
本多晴
シーンワークに関していえば、
結局考えていたことを手放してその場の衝動にかなり流された(そのあとのフィードバックで良いことだと指摘してもらいましたが、自分でもそう感じています。)のが非常に面白かったです。流されたけど、シーン理解を進めていたことと相手に任せていたことで、逆にアンカーが付いていた感覚というか。
三原一太
僕はどうしても芝居中自分を客観的に見過ぎてしまう癖があり怒りのシーンや悲しみのシーンがしているフリになってしまう傾向にありました。
それが今回、ダイアローグでもモノローグでも素直に心から思ったセリフを言うことが出来ました。
西村さんは教えると言うよりも一緒に考えてくれるタイプの方だったため自分で発見ししっかり噛み締めることが出来ました。
ー安童有都 『広すぎた檻』『虫篭』
辿っていったステップが有効だったのか、安心して参加できる環境・関係が育っていってか、いずれにしろ自分にとってフィットする構成、ファシリテーションだったようで、想像以上に自分の内面や体が素直に開いていってくれました。そうごさんが参加者の様子や、状況を丁寧に見ながら、適切なフィードバックや進行(案内人、というイメージなのですが)をじっくりとしてくださったからこそと思います。「頭で考えてしまう傾向がある」という自分自身の認識を超えて、「ちゃんと相手のことを聴き、感じて、自分の体や心が動いている。それによって言葉(セリフ)を発したり、動いたり(動かされる感覚)、しているな」と思える状態を経験できたことが驚きで、また、「決してできないわけではなくて、そのチャンネルをつなげていくことはできるのだな」と思うことができました。
ー田渕瀬那
マイズナーワークショップ講師プロフィール
西村壮悟 (にしむらそうご)
小劇場から商業演劇まで幅広く出演。文化庁新進芸術家海外研修制度で2017年から約一年間ロンドンに留学。
ジェレミー・ストックウェル氏、スコット・ウィリアムズ氏、木村早智氏に師事。2018年よりホスピタルシアタープロジェクトに参加し、主に障碍を持つ子どもと家族のための演劇を創作している。2020年は、オンライン演劇『音の世界』を演出、Kawai Project リーディング『リア王』に出演。エイベックス・アーティストアカデミー講師。2021年-2022年新国立劇場こつこつプロジェクト『テーバイ』に参加中。
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