新国立劇場のこつこつプロジェクトという企画がありまして。
演劇部門芸術監督の小川絵梨子さんがスタートさせた、時間をかけて継続的に作品を育てていくという企画に、参加している。
小川さんは、僕が2014年くらいにWSをやっていただいたときに、通常の一か月ちょいの稽古で作品を作り公演を打つという慣習のようなものに不毛さを感じると言っていた。*
だからワークインプログレスをで制作途中の作品を公開するというプロセスを経て作品を(そして作品を上演できる環境を)育てていきたいと。
新国立劇場の芸術監督に就任して、そのやりたかったことを実行している。
(*これは資本力を持たないが志はある演劇人が集客力に縛られないキャスティングで良い作品を作ろうとしても、せいぜい俳優のスケジュールや稽古場を確保できるのがそれくらいの期間で、下手をすれば赤字を出し、公演をやることで疲弊して続けられなくなる状況を見てのこと)
こつこつプロジェクト、僕が参加しているのは第二期で、第一期でも3作品が制作され『あーぶくたった、にいたった』が今年12月、一般に向け上演される
僕は6月から『テーバイ』という作品に参加している。
作・演出は船岩祐太さん。
約2カ月の稽古が3回ある。(1st、2ndは飛び飛びで計20日ほど。3rdはまだ知らない)
1stは共通言語を作っていく時間でもあり、上演台本を練り上げていく時間でもあった。
「テーバイ」とは戯曲『オイデプス』『アンティゴネ』の舞台となる古代ギリシャの国で、この2作といまいち知られていない『コロノスのオイデプス』の3作を一本のお芝居にして上演しようという試みだ。
試演会を通して、上手くいけば、公演ができる。
2ndの今は立ち稽古に入っている。
言葉は近現代的になっているが、やっぱり手強い台詞とスケール。
そして面白い。
俳優も、共演者の皆さん個性豊か。
お互いを動かし、状況、そして物語が動いていくギリシャ悲劇が立ち上がってきている。
●新国立劇場 こつこつプロジェクト
https://www.nntt.jac.go.jp/play/kotsukotsu/
●ステージナタリー「こつこつプロジェクト」第2期、福山桜子・船岩祐太・柳沼昭徳が1st試演会を振り返る
https://natalie.mu/stage/news/447732