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9日間の集中コースを終えて

8月の集中コースが終わった。

集中コースは基礎から応用のリピテションをして最後に台詞を暗記してシーンをやるWSだ。
今回の参加者は定員の10名。7月から第7波でどうなるかと思ったけど無事開催できた。
なかには僕のWS経験者や他でマイズナーをやったことがある人もいたけれど、最初は未経験者と同様に基礎から始めた。

僕は導入が大事だと思っている。
なるべく抵抗感のないように始めていきたい。
ただでさえよく知らない場所に知らない人同士が集まって、初めて会う講師の指導のもと、何かをやっていく。「自分」など出しにくいだろう。朝来てWSが開始されるまでの時間、皆所在なさげにしている。この所在なさげな感じ、自分を出すのを恐れる感じ、コミュニケーションを取りに行くのが恐い感じ、僕もよく分かる。(日本人は特にこの傾向が強い)

でも結果的には「自分」を出せたほうが演技はやりやすい。創作もしやすい。
可能な範囲でちょっとずつ「自分」を見せること、出すことをしていってもらう。

ワークを積み重ねて、ディスカッションもして(大人数だと難しい人もいるのでペアでも話して)、少しずつ参加者同士の関係性も作られていく。

今回のWSでは初めて「何でこのWSに参加しましたか?」という質問をした。
今まで訊いたことはなかったけど、そこにそれぞれがWSのなかで飛躍する鍵があると思ったから。
なかには以前別のところでマイズナーをやったことがあって、苦手意識をもってしまい「本当はこんなのではないんじゃないか」と参加してくれた人もいた。

マイズナーテクニックの大きな特徴は「自分に何が起こるかは、自分ではなく相手がすることによる」だ。強い感情の発露が目的でもなく、それができることが優れているわけではない。それらはただ派手で魅力的に映りやすいだけだ。相手がそれだけのことをしたときは成立する。
だから「相手のやること、言うことにフォーカスする」ということをくり返し伝える。

「与えられた(想像上の)状況」に身をおいてワークして、また少しずつその人が出てくる。

今回、人によっては2人の相手と同じシーンをすることがあった。
シーンや役の解釈は同じ、だけど相手役が違うから、起きることが全然違った。
相手の反応が違うから、違う関わり方をしていた。
準備してきたことを手放して「今ここで目の前の相手と関わる」ことができていた。
ジャッジメントを挟まず、相手から来たものに全て反応していく。WSで培ってきた技術がたしかに発揮された瞬間だった。

シーンでは言葉や解釈に引っ張られ過ぎないようにするため、それまで言葉に頼らないコミュニケーションと衝動を信じられるようにしていく。役のイメージでも身体を使ったワークが俳優の身になっていた。